エス・アール商事(東京都中央区)は、コロナ禍を経て定着してきた「衛生・安全」需要の取り込みに力を入れる。同社は日中貿易をベースに、抗菌をはじめ幅広い機能性材料・製品の取引で20年以上の実績がある。無機・有機など抗菌材料の知見・ノウハウに加えて研究開発、ラボ機能を持つのが強みで、アジア地域を中心に新たな商材を開発したい顧客に対し、製品、技術、サービスに合わせたカスタマイズ・デザインで提案している。
自社ブランド「マイクロキラー(Microkiller)」は、樹脂・繊維・塗料への練り込みや添着が自在に行えるのが特徴で、用途、加工に合わせて豊富なグレードを揃えている。
上海、広州、北京に拠点を持つ現地法人「北京艾斯爾科技有限公司」を通じ、現地の加工先と直接コンタクトが可能。ラボ機能があるエス・アール上海開発センターを中心に情報、技術を蓄積しており、企画から製品化、品質管理までトータルで顧客をフォローする。
コロナの流行によって人々のウイルス、微生物に対する意識が高まり、抗菌など「衛生・安全」分野が注目され、異業種を含めてビジネスチャンスを探る企業が増加している。同社は「マイクロキラー」で培った材料の組み合わせなどのノウハウを活用し、顧客が求める性能を実現できる処方を提案し、消臭、防ダニ、抗アレルギーといった「+α」の機能にも対応する。
同社は、抗菌製品技術協議会(SIAA)が進める抗バイオフィルムの試験法のISO化、加工製品マークの認証制度構築にも注目。これらに適合する材料処方の提案体制をいち早く整える。今後、企業価値のさらなる向上、SDGsの達成に向け取り組んでいく。
(化学工業日報、2023年6月23日号)